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自分をデザインすることから、はじめるデザイン。

これは フェンリル デザインとテクノロジー Advent Calendar 2022 15日目の記事です。

こんにちは、林です。
デザイン開発部でディレクターをしています。

私はフェンリルに入社するまで10年間ほど、フリーランスのグラフィックデザイナーとしてディレクションやデザインを生業にしていました。

さまざまな企業や個性ある人たちとコミュニケーションを取りながら進行する仕事は、デザインをする以上に、他者との関係性を築くために多くの時間を費やし、また自分自身と向き合う機会でもありました。
 
フリーランスでの仕事は、自ら会社に営業し仕事を受注するほか、たくさんのご縁に結ばれ素晴らしいクライアントとプロジェクトを協働することができました。それは、私のかけがえのない経験です! とはいえ、数ある仕事のいくつかは企業の担当者と私が噛み合わずプロデューサーに怒られたことや、地域の仕事ではリサーチ不足で話を通す手順が違うと叱られたことなど、ネガティブな経験も多々あります。
振り返れば、自分にも他人にもあらがっていた30代だったり、私が意見を聞かなかったり、リスペクトなしに物事を進めたりしたことが理由として思い当たります。

一見、ネガティブに感じたこの経験は「自分をデザインする」きっかけをくれました。心が曇りの日も自分がデザイナーに戻れる起点を作りました。
それは、デザインは明るい未来を示すもの、まずはデザインする私が幸せでいること。そして、私が幸せでいれるよう「自分と仲良しでいること」です。
 
これを大事なデザイン作業と位置付けて、自分と仲良しでいることを意識することをはじめました。トイレに行きたいときは行く、お腹が空いていたら満たす、寒い日は暖かくする、小さな自分への気遣いを重ねてご機嫌でいる状態を継続することで、他者や仕事の小さなことに気がつくようになりました。

「わからない」自分を引き受けてみる

私はディレクター、デザイナーとして、取捨選択し続けYES or NO、白か黒、正解または不正解の中でクライアントが求める以上の答えを出し、喜んでもらうことが私の正しさでした。また、自分と仲良しでいることを意識し続けるためにも、白でも黒でもない居心地が悪いものは受容せず、結果を急いで答えを求め続けました。

いつの日か、そういう自分を正当化し「わかった」ことで思考停止し、浅い理解を習慣化させ続けたとき「本当に私は理解をしているのか?」と自分への問いがうまれました。深い理解を持つことができたら、同じことで苦しむことも少しは減り、自分を新たな領域へ連れて行けるのではないかと考えました。

そんな自分への問いを知る過程の中、「ネガティブ・ケイパビリティ」という言葉に出会いました。それは、事実や理由を性急に求めず、不確実さや不思議さ、懐疑の中にいられる能力のことでした。すぐに答えは出さなくていいし、「わからない」自分を引き受けて、耐える力です。

この言葉に出会ったとき、「わからない」自分とも仲良しでよかったんだ! とより深く自分と繋がれる感覚を得ました。

『ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力』(朝日選書)
ネガティブ・ケイパビリティについて書かれた本。
2017年に精神科医帚木蓬生が出版し、日本で広く概念が知られるようになりました。

「自分をデザイン」は毎日がアップデート!

ネガティブ・ケイパビリティの本を読んで理解を試みた当初、私の心の居心地はとても悪かったですが、それをゆっくり見てみることにしました。わからなさを楽しめるようになった今、たくさんのアートを楽しみ、新しいジャンルの音楽を聞き、参加しても理解できないかもしれない体験をし、今まで避けていた人の話にも興味を持っています。
人間関係においても「今の私は、この人のことがわからないだけなんだな」と思うようになり、以前のようにすぐに関わりを遮断することはしていません。

「今」はわからなくていいし、わかったつもりで思考停止しているよりずっといい。この先、どうにも答えの出ない、対処しようのない出来事に耐えることができたらストレスは減り、明るく過ごせると思っています。それなりのネガティブ・ケイパビリティ力は必要ですが。

ちなみに「ネガティブ・ケイパビリティ」という言葉をフェンリルのスタッフと共有できないかとSlackで検索した際、フェンリルのリブランディング時に、この言葉に少し触れていました。多くの人がこの言葉に親しみを持てるといいなと思っています。
 
最後に、先日、Spectrum Tokyo Design Fest 2022へ参加した際に、 Awarefyのデザイナー・村上 隆紀さんのセッションに参加しました。
Awarefyというアプリにあった元気になる行動を日常に取り入れるセルフケアルーティンという機能が「自分と仲良くする」方法のアプリ版みたいだ! と思ったので、紹介します。アプリ管理だと通知もくるのでいいですね。

心をケアするスキルが身につくアプリ
 デジタル認知行動療法アプリ「Awarefy」


 

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